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2020年6月

CRP (C-reactive protein)

私はこれまでCRP(C-reactive protein)に関して様々な医師が様々な意見をおっしゃっている現場に遭遇してきました。その都度「確かにそうだなー」と納得することもあれば、「それはちょっと違うんじゃないかな」と疑問を感じることもありました。ここでは日常診療を通じて感じた自分なりのCRPへの考え方をまとめてみました。あくまで個人的な思いなので気楽に読んでいただけますと幸いです。 0:原理 […]

腰背部痛 back pain

腰痛も救急外来では非常にcommonな主訴ですが、これも怖い主訴です。 鑑別 必ず緊急で除外しないといけないのは大動脈解離・AAAです。突然発症~急性発症の背部痛は必ずエコー検査で大動脈解離・AAAの除外が必要です。腰が痛いというと腹部にエコーを当てるイメージがないかもしれませんが(患者さんもなんでおなかを診察するの?という顔をされますが・・・)、大血管の評価で必須です。 病歴 1:発症様式 突然 […]

咽頭痛へのアプローチ

咽頭痛は救急外来で非常にcommonな症候で、圧倒的に軽症なウイルス性咽頭炎が多いですが、見逃すと致死的に至る感染症も多く存在します。”Killer sore throat”を見逃さないためには解剖の理解と、解剖と対応するred flagの症状を把握することが一番重要です。 1:咽頭の解剖 咽頭の解剖部位の名称をきちんと理解できていないと、一体咽頭のどこのことを指しているの […]

脊髄神経根 spinal nerve root 増強効果

0:解剖 通常硬膜内の神経根はBNB(blood nerve barrier)が保たれており造影MRI検査で増強効果を認めることはないですが、硬膜外の神経根と後根神経節(DRG: dorsal root ganglion)はBNBが脆弱なため造影MRI検査で生理的な増強効果を認める場合があります ( AJNR1996;166:173 )。 脊柱管内と脊柱管外で・硬膜→神経上膜(epineurium […]

細胞外液(晶質液):リンゲル液 VS 生理食塩水

1:細胞外液(晶質液) Na含有量が体内の細胞外液と近い輸液を細胞外輸液と表現し、代表的なものに生理食塩水とリンゲル液があります(輸液全般のまとめに関してはこちらをご参照ください)。両者の違いは生理食塩水はCl=154mEq/LとClが多く、またpH=7.00と人体に比べてアシデミアに傾いているのに対して、リンゲル液は緩衝剤(乳酸、酢酸、重炭酸など)が含まれているためpHが人体に近く、Clも100 […]

心筋逸脱酵素:トロポニン・CK-MB

救急外来で胸痛患者さんが来ると心筋逸脱酵素を測定する場合が多々あると思います。改めてその検査特性に関して出来るだけ新しい情報を勉強し、まとめました。 ■トロポニン トロポニンの内容は全て以下の論文より引用しています(Ann Emerg Med. 2016;68:690-694)。この論文は筆者が端的にずばっと切れ味良い言葉でトロポニンに関して語っていて、感動します(こういう語り方が出来るようになり […]

頚静脈の診察

病態・解剖 心臓への静脈還流がうっ滞しているかどうか?を知る指標として「頸静脈」の評価は欠かすことが出来ません。私は情けない話ですが、頸静脈をある程度きちんと評価できるようになったのは昨年度からです・・・。これは身体所見すべてにおいてですが、一度きちんと身体所見をとれる医師と一緒に診察することが身体所見の習得には不可欠です。 頚静脈の診察に関して慶応大学循環器科の香坂先生が、「心臓にメスシリンダー […]

γ計算と昇圧薬

1:γ計算 γ計算は「体重あたりの投与量」と「時間当たりの投与量」という2つの概念を掛け合わせた単位(μg/kg/min)です。 体重に関して、例えば同じ薬でも体重50kgの人への投与量と体重100kgの人への投与量は異なるので、体重あたりの投与量と決める必要があります。 また時間あたりという点に関しては、例えばステロイドの場合は1日何mg投与したか?という積算量が重要ですが、ノルアドレナリンの様 […]

PPI プロトンポンプ阻害薬

1:作用機序 PPIは胃の壁細胞H+/K+-ATPase(プロトンポンプ)を阻害することで胃酸分泌を抑える働きをします。ヒスタミン受容体拮抗薬は酸産生への機序のうち1経路しかブロックしないですが、PPIは最終的なプロトンポンプを阻害するためより強力な酸抑制作用を持ちます。 PPIは通常胃酸で活性化され、効果発現に数日時間かかります。この効果発現に時間がかかる点がヒスタミン受容体拮抗薬と比較しての欠 […]

排尿・蓄尿障害まとめ

排尿障害は尿路感染症での評価、高齢者での一般的な症状として泌尿器科非専門医にとっても避けては通れない分野です。ここでは非専門医として考えることをまとめます。このよう内容はまだ勉強が浅いので適宜アップデートしていきます。 1:排尿の調節 末梢神経:骨盤神経(副交感神経)、下腹神経(交感神経)、陰部神経(体性神経) ■蓄尿:交感神経 ・α1(交感神経、下腹神経):収縮 内尿道括約筋・体性神経(陰部神経 […]