脊髄神経根 spinal nerve root 増強効果

0:解剖

通常硬膜内の神経根はBNB(blood nerve barrier)が保たれており造影MRI検査で増強効果を認めることはないですが、硬膜外の神経根と後根神経節(DRG: dorsal root ganglion)はBNBが脆弱なため造影MRI検査で生理的な増強効果を認める場合があります ( AJNR1996;166:173 )。

脊柱管内と脊柱管外で
・硬膜→神経上膜(epineurium)
・くも膜→神経周膜(perineurium)
・軟膜→神経内膜(endoneurium)
へと移行します。このうち神経周膜、神経内膜がBNBに関与しますが、神経根部と末端部は生理的にBNBが弱いことが知られています。

実際に撮像する場合は通常のT1造影ではなく、FS(fat supression)T1造影とすると神経根の描出がより分かりやすく、また撮像方向もcoronalを加えた方が分かりやすいです。

1:鑑別診断

・脱髄:GBS, CIDP, Miller Fisher syndrome、急性散在性脳脊髄炎
脊髄梗塞(脊髄梗塞に関してはこちらをご参照ください)
圧迫病変(椎間板ヘルニア)、神経根外傷
・代謝or遺伝性疾患:Krabbe病、異染性白質ジストロフィー、Cockayne症候群
・傍腫瘍症候群
・悪性リンパ腫神経根浸潤
・ウイルス:CMV多発性神経根炎、帯状疱疹、EBV脊髄神経根炎・肥厚性ニューロパチー
・癒着性くも膜炎、髄膜炎
・サルコイドーシス (臨床神経 2011;51:483-486)
・FAP(家族性アミロイド多発ニューロパチー)

(エキスパートのための脊椎脊髄疾患のMRI 第3版より参照)

具体例

・サルコイドーシスによる神経根炎 臨床神経 2011;51:483-486

2:その他

■前根のみの増強効果はGBSを示唆する Radiology 1998;208:137

8例のGBS患者の造影MRIを検討、全ての症例で前根の増強効果を認めた。

3:神経根増強効果との鑑別 radicular veinについて

神経根増強効果との鑑別として重要な解剖としてradicular vein(神経根静脈)が挙げられます。これは脊髄から硬膜外静脈叢へドレナージする血管で、各神経根にあり通常は非常に細いためMRIで同定することは出来ません。しかし、中には非常に太い(0.5-1.2mm)radicular veinもあり、これをgreat radicular veinと表現します。通常下部胸髄領域~上部腰髄領域に存在します。このgreat radicular veinは造影MRI検査で増強効果を持つことがあり、これは病的所見ではなく正常所見であるため注意です。この所見は特に椎間板ヘルニアによる神経根圧迫による神経根の増強効果とまぎらわしいです。

以下が具体的な増強効果を呈する例です。

“脊髄神経根 spinal nerve root 増強効果” への2件の返信

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