PPI プロトンポンプ阻害薬

1:作用機序

PPIは胃の壁細胞H+/K+-ATPase(プロトンポンプ)を阻害することで胃酸分泌を抑える働きをします。ヒスタミン受容体拮抗薬は酸産生への機序のうち1経路しかブロックしないですが、PPIは最終的なプロトンポンプを阻害するためより強力な酸抑制作用を持ちます。

PPIは通常胃酸で活性化され、効果発現に数日時間かかります。この効果発現に時間がかかる点がヒスタミン受容体拮抗薬と比較しての欠点です。最も新しいボノプラザン(タケキャブ®)はより、酸による活性化が必要なくプロトンポンプを阻害するため早く酸を抑制することが指摘されています(正確にはPPIには分類されませんが、ここでは同じ系列で扱います)。

2:分類

■静注薬

静注薬はオメプラゾール、ランソプラゾールがあります。私は普段はオメプラゾール20mg 1日2回静注を使用し、内服可能になればすぐ内服へ切り替えています。オメプラゾールは配合変化をきたしやすいため、オメプラゾール静注の前後で生理食塩水を10mlずつフラッシュ静注することが必要です。

■経管投与

ボノプラザン以外のPPIは腸溶錠なので、経管からの投与に関してはボノプラザン(タケキャブ®)以外は詰まりやすく使用しづらい難点があります。

3:副作用

薬剤相互作用

PPIの難点は肝臓CYPによる代謝を受けるため、薬剤相互作用が多い点です。オメプラゾールは特にCYP2C19と関係するため効果の個人差がありうることと、薬剤相互作用が多いことが指摘されています。ラベプラゾールはCYPによる代謝の影響が少ないため、併用しやすい薬剤です。

例えばタクロリムスを使用する場合オメプラゾールなどが使用できませんが、ラベプラゾールであれば併用を気にせず使用することが出来ます。クロピドグレルを併用している場合も、クロピドグレルはCYP2C19で代謝を受けるため、オメプラゾールの併用はクロピドグレルの作用を低下させる可能性が指摘されています。

CDI、骨折、肺炎:これらはリスクが上昇する可能性の指摘があります。

低Mg血症:あまり有名ではないですが、PPI長期投与は重度の低Mg血症をきたす場合が指摘されており、長期投与中の患者では必ず測定するべきです。Mg代謝に関してはこちらもご参照ください。

ビタミンB12欠乏症:Mgと同様長期投与では注意が必要です(JAMA 2013 Dec 11; 310:2435)。ビタミンB12欠乏に関してはこちらもご参照ください。

顕微鏡的大腸炎(microscopic colitis):慢性下痢の多くが同疾患によるものの可能性であることが指摘されており、PPIがそのリスクとなることが指摘されています。

以上PPIに関してまとめました。PPIはついつい処方され継続されている頻度が多い薬剤ですが、薬剤ごとの違い、薬剤相互作用、副作用に関して内科医は習熟しておく必要があります。

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