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α-GI α-グルコシダーゼ阻害薬

■作用機序

2糖類をグルコースへ分解するαグルコシダーゼを阻害することで、血糖値の上昇を緩やかにする作用を持つ薬剤です。

■特徴

・大血管合併症予防効果なし
・体重増加リスクなし
・低血糖リスク低い
・1日3回の内服かつ食前のためコンプライアンスは悪くなりやすい
・副作用は多い(消化管症状)

大血管合併症予防効果は示されておらず、第1選択薬にはならない薬です(しつこいですが第1選択はメトホルミン)。体重増加リスクが無い点や低血糖リスクがほとんどない点が優れています。一番の問題点は下で臨床試験の結果を一部載せていますが、副作用での継続脱落が非常に多く(STOP-NIDDMでは24%が脱落)、消化管副作用の点と各食前に内服しないといけないため、コンプライアンスが悪くなりやすいです。

■分類

以下の3つの薬剤があります。

■副作用

腹部症状 腸閉塞、消化管術後の患者には基本投与は避けます。内服回数が多いかつ、この副作用のためになかなかコンプライアンスを良好に保つことは難しいです。

高アンモニア血症(特に肝性脳症の患者で増悪因子になるため注意)

*アカルボースの臨床試験紹介 STOP-NIDDM JAMA 2003;290:486

design:double-blinded RCT
P:糖尿病境界型IGTの1492人
inclusion:40-70才、BMI25-40、FBG100-140mg/dL
exclusion:CVD6か月以内の既往
患者背景のまとめ:54.5才、BMI30.9、男性49%、血圧131/82mmHg、血糖値(112,166mg/dL),CVD既往4.8%
I:acarbose100mg 3T3x
C:placebo
O:follow up 3.3年 ITT解析
primary outcome:何かしらの心血管イベント(冠動脈疾患、MI、それによる死亡、心不全、脳梗塞、PAD)
脱落:24%
(211,130人) 原因はほとんどが消化器系による副作用
結果


心筋梗塞:0.15%(1人) vs 1.75%(12人) ARR=1.6%/3.3y NTT=204人/y
何かしらの心血管イベント:2.1%(15人) vs 4.7%(32人) ARR=2.6%/3.3y NNT=125人/yその他では有意差なし

考察
まずそもそも対象の患者が糖尿病患者においての大血管合併症予防効果ではなく、境界型糖尿病患者でその他の糖尿病薬が入っていない状態(つまりαGIを最初に飲む薬として選択)という点に注意が必要です。つまり、糖尿病に対してメトホルミンを使用していて、そこにαGIを加えることで大血管合併症予防効果があるか?をみている訳ではありません。こうすると、実際にこの臨床試験の結果を適応できる患者はそこまで多くない印象があります。イベント数も少なくこの試験結果だけをもって、αGIは大血管合併症予防効果があるとは言えないと思います。