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2020年5月

なぜあなたは呼吸回数を測らないのか?

みなさま普段呼吸回数をきちんと測っていますでしょうか?実は偉そうなことを言っておきながら、私は初期研修医の時に呼吸回数をあまり測ることが出来ていませんでした・・・。呼吸回数は「バイタルサイン」の1つですが、実際カルテに記載がなかったり、プレゼンテーションでも言っていない場合があったりと、非常に軽視されている場合が多いように感じます。 おそらく呼吸回数を測らない原因は「測定に時間がかかり面倒くさい」 […]

貧血へのアプローチ

1:鉄代謝 貧血の理解には鉄代謝の理解が必要なので、まず以下の図を利用しながら勉強していきます。 鉄は消化管からフェルロポルチン(Ferroportin:図の緑色小さな四角形で表現)を経由して血中に入ります。鉄はそのままでは毒性が高いので、血中ではトランスフェリン(transferrin:図の水色)という輸送蛋白に乗って血液中を移動します。このトランスフェリンは肝臓が普段は作り供給しています(他の […]

抗血小板薬 antiplatelet drugs

1:血小板の生理 普段私たちの血管内皮細胞はNO(一酸化窒素)やPGI2(プロスタグランジンI2)などの働きによって、血栓が出来ないようにしています。しかし、血管壁が破綻して出血をすると血小板が止血において重要な役割を担います。 血管内皮細胞が障害されると、vWF(von Willebrand因子)を介在して、血小板がくっつきます。血小板はここで、ADP(アデノシン二リン酸)やTXA2(トロンボキ […]

抗凝固薬 まとめ

0:凝固カスケードと作用機序 凝固カスケードと抗凝固薬との対応関係をまとめると上図の様になります。以下でそれぞれの薬に関してまとめます。 1:ヘパリン類 ■作用機序と分類 ヘパリン類はそれ単独では抗凝固作用を示さず、AT(antithrombin:アンチトロンビン)依存性に抗凝固作用を発揮します。このため、背景にAT欠損や活性低下があると十分な薨御作用を発揮できません。未分画ヘパリン(UFH: u […]

凝固・線溶系

1:凝固・線溶の生理学 ■外因系・内因系 凝固カスケードは大きく内因系、外因系とそれらが合わさる共通系に分けることができます。内因系は凝固因子が全て「血管内」にあるため「内」と表現し、外因系は組織因子が「血管外」にあるため「外」と表現しています。出血時の止血では特に外因系が重要であるとされています。内因系はAPTTで、外因系はPTでそれぞれモニターします。 外因系、内因系それぞれが活性化すると、共 […]

DKA :diabetic ketoacidosis

1:DKAに関して ■高血糖緊急症 高血糖緊急症はDKA(diabetic ketoacidosis:糖尿病性ケトアシドーシス)とHHS(hyperosmolar hyperglycemic syndrome: 高血糖高浸透圧症候群)が挙げられます(下図にそれぞれの特徴を簡単に記載しました)。総合内科をやっていると、よく「血糖値が700mg/dLで高血糖緊急症です」とコンサルトがきますが、これは間 […]

NSAIDs: non-steroidal anti-inflammatory drugs

1:作用機序 NSAIDsはCOX(cycloxygenase:シクロオキシゲナーゼ)阻害しアラキドン酸カスケードを止める薬理作用を持ちます。ここでアラキドン酸カスケードとCOX、その代謝物の生理学についてまとめます。 アラキドン酸はCOX (cycloxygenase:シクロオキシゲナーゼ)によりプロスタグランジンに代謝されます。COXには2種類あり・COX1:正常組織で恒常的に発現(̶ […]

高Na血症 hypernatremia

1:病態 高Na血症の病態を理解するためには水代謝の理解が必要で、水代謝のチャプター(こちら)をもしよければご参照ください。高Na血症の病態で重要な点は、高Na血症はNa量の問題ではなく、水(H2O)代謝の問題だということです。ここから先は低Na血症でも話ことと一部同じ内容になります。 私たち人間は体液を調節する機序として「容量調節(volume regulation)」と「浸透圧調節(osmor […]

尿浸透圧

1:尿浸透圧は調節できる必要がある 尿浸透圧が血中浸透圧と同じ値しか取れなかったとするとどうなるでしょうか?例えば私がポテトチップスを食べて血中Na濃度が上昇した場合を考えます(私はストレスがたまった時に体質的に酒が飲めないのでポテトチップスをばくばく食べる悪いくせがあります・・・)。ポテトチップスの塩分により血中浸透圧(正確には張度)が上昇し、視床下部がこれを感知して下垂体後葉からADHを分泌し […]

低Na血症 hyponatremia

1:病態 低Na血症の病態を理解するためには水代謝の理解が必要で、水代謝のチャプター(こちら)をもしよければ予めごらんください。。低Na血症病態の本質は、低Na血症はNa量の問題ではなく、水(H2O)代謝の問題だということです。 私たち人間は体液を調節する機序として「容量調節(volume regulation)」と「浸透圧調節(osmoregulation)」の2つを兼ね備えています。Na濃度が […]