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2020年5月

バンコマイシン

1:分類 グリコペプチド系抗菌薬で細胞壁合成阻害の機序で作用します。耐性菌を含めたGPCを幅広くカバーする抗菌薬として重要な位置を占めています。 バンコマイシンがtargetとする菌は3つあり1:MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌), CNS(コアグラーゼ陰性ブドウ球菌)・GPC cluster菌血症の初期治療・S.aureus菌血症の感受性同定前 (MSSA or MRSAかわからない初期) […]

クリンダマイシン Clindamycin

リンコマイシン系抗菌薬で静菌的に作用し、肝代謝(腎機能による投与量の調整が必要なし)の薬剤です。GPC全般と嫌気性菌(横隔膜よりも上)をカバーする特徴があります。この抗菌薬も基本的に第1選択で使用することはありませんが、ペニシリンアレルギーの患者でのGPCカバー、横隔膜より上の嫌気性菌カバー、Clostridiumによるガス壊疽、壊死性筋膜炎などでの毒素産生を抑える機序、上記2つの場合で使用する場 […]

モノバクタム系抗菌薬 アズトレオナム

モノバクタム系抗菌薬は細胞壁の生合成阻害により、殺菌性、時間依存性に作用します。一般名:アズトレオナム、略称:AZT、商品名:アザクタム®です。なかなかminorな抗菌薬で今まで一度も使用したことがない方も多いかもしれませんが、スーパーサブ的なポジションで非常に有能な抗菌薬です。 緑膿菌を含むGNR全般に効果があります。GPC、嫌気性菌は全くカバーしないことからMr. GNRともいえる抗菌薬です。 […]

マクロライド系抗菌薬

1:分類 マクロライド系抗菌薬は静菌的に作用し 細胞内寄生菌(マイコプラズマ、クラミドフィラなど)に効果がある特徴があります。世代がエリスロマイシン(EM)→クラリスロマイシン(CAM)→アジスロマイシン(AZM)と進むにつれて血中半減期が長くなる特徴があります(AZMは1日1回投与が可能)。 エリスロマイシンは下記の下痢の副作用が強く積極的に使用する場面はほとんどありません。(副作用を逆手にとっ […]

輸液

輸液の理解のためにその基礎となる内容に関して解説していきます。レクチャーを何度かさせていただきその内容を掲載しています。古いバージョンを改定させていただきました。 1:体液の分布 体液は1:血液、2:間質液、3:細胞内液の3つのコンパートメントに分けられます。このうち1:血液と2:間質液を合わせるたものを一般的に「細胞外液」といいます。輸液を考える際には、その輸液がコンパートメントのどこへ分布する […]

走ることについて語るときに僕の語ること 著:村上春樹

すごく久しぶりに医療と関係ないおすすめ本の紹介です。村上春樹というと小説のイメージが強いかもしれませんが、実はエッセイも非常に読みやすくて面白いものが多いです。この本のタイトルからは「ランナー向け」の本なのかな?と思われるかもしれないですが、実際には日々何かに一生懸命取り組んでいる人の心にひびく内容が沢山書かれています。 私の座右の言葉となっているのは下の部分です。 “日々走ることは僕 […]

血液浄化療法 plasmapheresis

0:血液浄化療法の分類 血液浄化療法(Plasmapheresis)は血液中の血漿成分(血球ではなく)を体外に除去する方法で、免疫疾患で血漿中のガンマグロブリン、補体、サイトカインなどを除去する目的で行う治療法です。どの大きさの分子量を除去するかによって大きく以下の方法に分類されます。 ・単純性血漿交換 Therapeutic Plasma exchange (TPE) *いわゆる血漿交換・血漿吸 […]

血小板減少へのアプローチ thrombocytopenia

1:病態・原因 元々人体は進化の過程では出血との戦いだったので充分量の血小板を蓄えています。このため一般的に2~3万/μLあれば止血に問題はないとされています。そこまで下がってからでは遅いので、一般的には血小板数を10万/μL以下を血小板減少の定義とすることが多いです。 しかし、重要なのは血小板の絶対数ではなく、経過で血小板数が下がっているかどうか?です。このためたとえ血小板数が正常範囲内であった […]

利尿薬 diuretics

1:Na排泄と作用部位 利尿薬は尿細管でのNa再吸収を阻害することで、尿中Na排泄量を増加させ、体液量(正確には細胞外液量)を減少させる働きがあります。なぜNa量を調節するのかというと、Na量は細胞外液量と対応しているからです。これは水代謝のところでも話ましたが、再度体裁します(詳細はこちらをご参照ください)。 Naは血管壁を挟んで血管内と間質を自由に行き来することが出来ますが、細胞膜を挟んで細胞 […]

好酸球増加 eosinophilia

1:病態 好酸球は大きく分けて骨髄、血液、組織の3つの場所に存在します。骨髄には1週間程度、血液には数時間(24時間以内)、そして組織中には1~2か月と基本は組織に長く存在します。組織中の好酸球数は血液中の数百倍程度とされており、血液中の好酸球は全体のごく一部を反映しているに過ぎないことに注意です。このことは臨床的に血中の好酸球数で臓器障害を必ずしも予想出来ないことと関係しているかもしれません。 […]