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2019年

「けいれん」・「てんかん」・「発作」の言葉について

病態・症候・病名の対応関係 日常臨床で「てんかん」、「けいれん」、「発作」という言葉が十分に区別されずに使用されている現場を目にすることが多い。この言葉を理解するためのポイントは各用語が「疾患」、「症候」、「病態」のどれを表しており、それぞれどのような対応関係にあるかを理解することにある。この対応関係を下図にまとめた。 てんかん(epilepsy)は疾患(つまり病気の名前)であり、症候(つまり症状 […]

DOAC: direct oral anticoagulants 直接作用型経口抗凝固薬

1:薬剤のまとめ 以下にDOACそれぞれの特徴をまとめます。腎機能により薬剤量は調節が必要です。すべての薬剤でCCr<15 ml/minの場合は禁忌となり、ワーファリンを選択します(ワーファリンは透析患者での抗凝固に関しては出血合併を増加させるだけで血栓症は減らさない可能性があり注意が必要です)。 2:DOACの特徴 DOACのワーファリンと異なる特徴としては、半減期が短い、拮抗薬がない(新 […]

膠質液(colloid)まとめ

1:体内の分布 膠質液はcolloidとも表現され、血中の浸透圧を保つ高分子輸液製剤のことをさします。理想的には膠質浸透圧が保たれているため、下図のように全て血管内に分布するはずです(細胞外液、細胞内液、血管内と3つのコンパートメントに分類すると)。 しかし、実際には必ずしも血管内だけに分布するわけではないことが分かっています。一体なぜでしょうか? 血管内皮細胞は普段グリコカリックスというものに裏 […]

細菌性髄膜炎 bacterial meningitis

0:はじめに 細菌性髄膜炎は市中感染症の中でも最もemergencyな疾患であるが、3次救急を扱う総合病院でも1か月1例はないような稀な疾患である。稀な疾患ではあるが、医療者が出来る予後を改善する唯一の方法が素早い治療介入であり、その臨床像をつかむことと、初期対応に関して習熟することは極めて重要である。 1:臨床所見・臨床像 「細菌性髄膜炎」の臨床像を表現すると、「発熱」、「頭痛」、「意識障害」の […]

入院患者の発熱 fever workup

1:原因 入院患者の発熱への対応は病棟医の基本中の基本ですが、奥が深く簡単ではないことが多いです。治療可能な病態へ早く介入できるかどうかの病棟医の力量が問われていると日々痛感しております。 原因は「感染症」と「非感染症」いずれもあります。感染症としては、救急外来と異なり特に医療関連感染症が多い特徴があり、これら代表的な5大医療関連感染症が挙げられます。 ・CAUTI: catheter assoc […]

カルシウム受容体拮抗薬 CCB: calcium channel blocker

1:カルシウム受容体の分類 カルシウム受容体は数多くあるが、大きく「ジヒドロピリジン系」と「非ジヒドロピリジン系」の2つに分類すると理解がしやすくなります。 「ジヒドロピリジン系」の薬剤は主に血管平滑筋に作用し、降圧薬として使用します(薬剤名に「○○ジピン」が付きます)。一方で「非ジヒドロピリジン系」の薬剤は心筋・刺激伝導系(房室結節)に作用し、“rate controllerR […]

呼吸生理 治療との対応関係

ここでは我々が呼吸不全に対して行っている治療が呼吸生理のどの要素へ介入しているのかをまとめる。 1:酸素療法 酸素療法は純粋にFIO2を上昇させることで、PAO2を上昇させ、PaO2を上昇させることで酸素化を改善している(下図の赤字部分で表現)。呼吸筋、呼吸仕事、肺の状態を直接改善している訳ではないことを確認したい。 2:人工呼吸器 人工呼吸器での設定項目は多岐にわたるが、それぞれがどこと対応して […]

酸素を届ける:SaO2とPaO2の違い

血液ガスをとると必ず、SaO2とPaO2どちらの項目も表示されています。目的、状況に応じてPaO2に着目するべきなのか、SaO2に着目するべきなのかを判断できるようになるため、ここではSaO2とPaO2の違いに関して解説します。 1:酸素供給とは? 組織への酸素供給(DO2: delivery O2)は 、「心拍出量」、「ヘモグロビン濃度」、「酸素飽和度」の3つの要素で規定されます(具体的な式は下 […]

CKD(慢性腎臓病) 病態

1:CKDの病態 まず原疾患によって「ネフロン」の喪失が起こる。そうすると、糸球体濾過量を保つために「残っているネフロン」が普段より頑張ることになる。そうすると残ったネフロンにかかる負担が大きくなり、「糸球体内圧」が上昇する。糸球体内圧が上昇するとその糸球体にダメージが及び、その残っているネフロンも喪失してしまう。ネフロン数は出生時に決まっており、そこから増加することはないため、新しくネフロンを動 […]