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2019年

低血糖 hypoglycemia

1:病態・症状 低血糖での症状は大きく以下の二つに分類されます。 1:automonic:交感神経症状と副交感神経症状2:neuroglycopenia:中枢神経症状(痙攣、意識障害、神経巣症状) 通常症状は先に自律神経症状、次に中枢神経症状の順番で症状が出現しますが、長期糖尿病患者ではhypoglycemia unawareness(自律神経障害で自律神経障害に対して無自覚)のため、いきなり中枢 […]

中毒へのアプローチ

1:Toxidrome vital sign,身体所見からのapproach 意識障害やvital signに異常がある患者で、中毒を疑い「とりあえずトライエージ®「triage®陰性だから中毒ではないかー」というアプローチは間違っています。vital sign、身体所見からどのようなtypeの中毒が疑われるかまず分類して、その原因となりうる薬剤歴があるかどうかを確認するという系統的アプローチが必 […]

急性脊髄硬膜外血腫 spinal epidural hematoma

0:どんな疾患か? 「なんでこんな稀な疾患を取り上げるの?」と思われるかもしれないですが、急性脊髄硬膜外血腫は疾患頻度としてはマレですが、脳梗塞と間違えられてしまう疾患の王様でとても重要な疾患であるため紹介させてください。学校で習う病気ではないですし、私も恥ずかしながら卒後4年目で初めてこの疾患を知りました。私も自分で初療対応した症例はいままで2例しかありませんが、いずれの症例も脳梗塞と間違えてし […]

片側上下肢・運動障害へのapproach

0:片側上下肢(顔面は保たれる)運動障害 ここでは顔の症状はないが、片側上下肢の運動障害を訴える患者へのアプローチを考える。特にここでも脳血管障害と鑑別になる「突然発症」の場合を考えていく。顔を含まなない上下肢の運動障害の場合は、必ず「本当に脳が責任病変でよいのか?」「脊髄が責任病変の可能性はないか?」という視点でのアプローチが重要となる。 1:急性脊髄硬膜外血腫 急性脊髄硬膜下血腫は非常にまれな […]

なぜ上肢Barre検査を脳梗塞疑い患者にするのか?

「上位運動ニューロン」、「下位運動ニューロン」、「神経筋接合部」、「筋肉」という順に電気刺激が伝わることで筋肉は収縮する。それぞれ、上位運動ニューロン下位運動ニューロンの障害を「運動麻痺(motor paralysis)」、神経筋接合部の障害を「筋無力(myasthenia)」、筋肉の障害を「筋脱力(weakness)」と一般的に表現する。 このうち脳梗塞を疑う患者において調べるのは「上位運動ニュ […]

上肢単独の運動障害へのapproach

0:上肢単独の運動障害 ここでは「突然右手が動かなくなった」という症状で救急外来に患者が来た場合を考える。慢性の経過ではなく、特に脳血管障害と鑑別となる突然発症の病態を中心に説明する。 1:脳梗塞 片側の上肢だけの障害では脳梗塞ではないと思うかもしれないが、実際には単麻痺(顔だけ、上肢だけ、下肢だけといった一か所の障害のこと)の原因として上肢は最多である。単麻痺は脳梗塞全体の4.1%を占め、そのう […]

顔面神経麻痺 facial nerve palsy

0:解剖 1:「中枢性」・「末梢性」の鑑別 ・顔面の上半分は両側支配になっており、顔面の下半分は片側支配になっている。このため中枢性では額のしわ寄せは、反対側からの神経線維もあるため保たれる。 ・このため顔面の運動に関して中枢性と末梢性で最も重要なのは「額のしわ寄せ」である。ぱっと患者さんの顔を見てこの所見が明瞭であれば何も困らないが、はっきりしない場合も多い。基本的に麻痺は随意運動をかけることで […]

「めまい」へのアプローチ

めまいの分類 ・「めまい」が生じる解剖部位は「三半規管」・「前庭」・「中枢(小脳・脳幹)」の3つに分類されます。 ・「三半規管」に関係するのはBPPV(良性発作性頭位めまい症)、「前庭」に関係するのは前庭神経炎・Meniere病、「中枢」に関係するのは多くは脳血管障害であり、小脳梗塞・小脳出血・PICA梗塞による延髄外側症候群が挙げられます。このように障害される解剖部位と病態・疾患はほぼ1対1対応 […]

「けいれん」への対応

Step1: ABCの確認+血液ガス/血糖値 “Vital is always vital.”という言葉がある通りバイタルサインは最重要だ。A(airway), B(breathing), C(circulation)の安定を必ず確認してから、初めてD(diazepam, ジアゼパム)投与を検討する。目の前の患者が「けいれん」しているとつい慌ててしまいなんとか止めようと考えてしまうが、ABCをすっ […]

「けいれん」を呈する病態へのアプローチ

「けいれん」という症候からどのような病態を鑑別しないといけないかを考える。けいれんを呈する病態は大きく分けると1:脳神経細胞の異常興奮、2:一過性全脳虚血(失神)、3:心因性の3つに分類される。重要なのはこれらの鑑別は検査では分からず、あくまで病歴、臨床所見から行うという点にある。上記3つの病態を一気に鑑別するのは難しいため、まず1と2を比較し、次に1と3を比較するという方法で鑑別をすすめていく。 […]