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キノロン系抗菌薬 Quinolone

1:分類

殺菌性、濃度依存性の抗菌薬で作用機序としてはDNA阻害により作用します。以下にその分類をまとめましたのでご参照ください。
レボフロキサシンでは肺炎球菌のカバーが出来るようになり、モキシフロキサシン(私は一度も処方したことがないですが)は嫌気性菌カバーが出来るようになる特徴があります。

2:適応

一言で表現すると、キノロン系抗菌薬は「レジオネラ感染症以外は基本使用しない」という姿勢が重要です(わざわざ抗菌薬の紹介をしておいて、使わないようにしましょうというのも変な話ですが・・・)。私が初期研修をした病院では使用する際には届け出が必要でしたし、救急外来で「こっそり」処方すると怒られる薬剤の代表でした。

肺炎起炎菌は幅広くカバーできますが、喀痰グラム染色で起炎菌へのアプローチをするべきですし、全例でレジオネラのカバーが必要なわけではありません。そして、結核に対して部分的に効いてしまう点が問題です(それによって結核の診断が遅れてしまう問題があります)。また耐性をとられやすく、広域抗菌薬の代表であり、基本的には温存する姿勢が大切です。

3:副作用・相互作用

関節、腱(軟骨形成不全)18才以下、妊婦、授乳婦は禁忌
・中枢神経症状 * NSAIDs併用禁忌(痙攣)
 「発熱患者に対してよくわからないけどキノロン、対症療法としてNSAIDs」という処方を残念ながら、まだ目にする場合があります。併用禁忌なので注意です。
QT延長作用 *抗不整脈薬や抗精神病薬などとの併用に注意(QT延長はこちらを参照)
Mg,Fe,Ca,Zn,H2RAとの併用で効果減弱(具体的には酸化マグネシウム、鉄剤など)
 これも高齢者で元々便秘に対して酸化マグネシウムを内服している状態で経口のキノロンが処方されているケースをよく目撃します。効果がなくなってしまうので避けるようにしたいです。
・Warfarin作用増強

副作用は多く、また薬剤相互作用も多いため注意したいです。

参照:武蔵野赤十字病院感染症科レクチャー