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DOAC: direct oral anticoagulants 直接作用型経口抗凝固薬

1:薬剤のまとめ

以下にDOACそれぞれの特徴をまとめます。
腎機能により薬剤量は調節が必要です。すべての薬剤でCCr<15 ml/minの場合は禁忌となり、ワーファリンを選択します(ワーファリンは透析患者での抗凝固に関しては出血合併を増加させるだけで血栓症は減らさない可能性があり注意が必要です)。

2:DOACの特徴

DOACのワーファリンと異なる特徴としては、半減期が短い、拮抗薬がない(新規にでてきているが)、食事制限がない、消化管出血は多いという点が挙げられます。
DOACではなくワーファリンを選択するべき状況は、
1:人工弁置換後患者
2:腎機能障害患者(CCr<15-30 ml/min)
の2点が挙げられます。

DOACのワーファリンに対する特徴を具体的にまとめると (meta-analysisの結果 Lancet 2014;383:955)
・脳出血:DOACではWarfarinと比較して約半分程度低い
・脳梗塞・全身塞栓症:DOACとWardarinは同様の結果
・消化管出血:DOACの方がWarfarinと比較して25%程度高い
・全死亡:DOACの方がWarfarinと比較して10%程度低い
となっています。

3:どのDOACを選択するべきか?

今までの臨床試験でDOAC同士を直接比べたRCTはなく、全てワーファリンとの非劣勢試験であることに注意です。患者背景がそれぞれのstudyで異なるため、「どのDOACがどのDOACよりも優れている」ということは厳密には言い難いのが現状です。現状のevidenceでは各DOACのおおまかな傾向をとらえておくくらいの理解で十分と個人的には思います(医師により使い慣れている、慣れていないなどでの好みがあります)。

おおまかな特徴を挙げると、
・ダビガトラン:脳梗塞でワーファリンに対して優越性を示した(DOACの中で唯一)
・リバーロキサバン:1日1回の内服でコンプライアンスの改善につながる・消化管出血合併が多い
・アピキサバン:出血合併症が少ない
・エドキサバン:1日1回の内服でコンプライアンスの改善につながる
ということが挙げられます。

具体的な使い分けに関して、Expert opinionでは下記のような推奨があり参考までに添付させていただきます。 JACC 2015;21:2282

抗凝固薬の切り替えはこちらをご参照ください。